取材

復興×ポケモンGO(Pokémon GO)でラプラスが出まくっている石巻に行ってきた


「ポケモンGO(Pokémon GO)」のレアポケモンのうちの1体・ラプラスが、2016年11月11日から岩手県・宮城県・福島県の沿岸部で出現しやすくなっていることが公式に発表されました。10月26日から11月2日にかけて行われたハロウィンではゲンガー・ゴースト・ゴース・スリーパー・スリープ・ゴルバット・ズバットの出現率が大幅に向上し、捕獲したポケモンリストの9割をこのポケモンで埋め尽くされる勢いだったので、「同じようにラプラスが手に入るのなら、この期間中に機会を見つけてぜひ行きたい」と思っていたところ、東日本大震災・熊本地震の被災4県とのコラボ企画第1弾として行われる「Explore Miyagi」の開催日が2016年11月12日で重なっていたので、「ここしかない!」と足を運んでみました。

『ポケモン GO』×宮城県ポケストップ申請イベント
https://www.pokestop.miyagi.jp/


◆前置き
「Pokémon GO」は2016年7月22日に日本でのサービスを開始。「ポケットモンスター」という人気タイトルをもとにしたゲームだったということもあって、あっという間に幅広い利用者を取り込みました。その影響力は誰もが認めるところで、2016年8月の時点で「東日本大震災」被災地である岩手県・宮城県・福島県、「熊本地震」被災地である熊本県との連携を発表しています。

開発元のNianticはPokémon GOと同じ位置情報ゲームであるIngressでは各自治体と連携して公式イベントを実施していますが、Pokémon GOではまだ公式イベントは北海道江別市で行われた「Pokémon Go サードサタデー」のみ。

そこへ発表されたのが「Explore Miyagi」でした。主催は宮城県と宮城県観光連盟で、宮城県石巻市・東松島市・女川町・南三陸町を自分たちで周り、新たなポケストップに追加したいという候補を探して申請しようというイベントです。



「Explore Miyagi」公式サイトを見るとピカチュウと一緒にダンスする「ピカピカ☆フィーバー」をはじめとするサブイベントが用意されているものの、「※出現するポケモンに特別な変化はございません。」という表記の通り、会場でのポケモン出現率や出現ポケモンの種類などの変化は予定されていませんでした。

そこに重なったのが「ラプラス出現率アップ」です。ケータイWatchがNiantic日本法人の村井説人社長から聞き出した内容によると、あくまで「たまたまタイミングがあった」ものだそうですが、現地に足を運ぶきっかけの1つとして実施されたようです。


実際、タイミングがあったことで、行くことを決めたのでした。

◆石巻へ
石巻市は宮城県の北東部に位置します。地図で東北地方を見た時に、青森県から続く太平洋側の海岸線が1つの半島の出っ張りから内側へ窪みます。この出っ張りが牡鹿半島で、付け根の西側に石巻市の市街地があります。


移動の起点は仙台です。JRだと仙台駅から石巻駅まで840円。


Suica等のICカードにも対応していますが、ICカード利用だと運賃が842円と2円高くなるようです。


仙石線か仙石東北ラインなら乗換なしで到達可能。今回は仙台駅を6時26分に出発する快速に乗車しました。車両は「HYBRID TRAIN」と書かれたHB-E210系ハイブリッド気動車。


乗車時点ではガラガラでした。このあと、発車までに多少席が埋まりました。


この日は午前6時48分に宮城県沖を震源とした最大震度4の地震が発生。車内では地震発生にはまったく気付きませんでしたが、高城町駅での行き違いを終えて、次の停車駅である野蒜駅へ向かう途中で長時間の信号待ちに遭遇。野蒜駅へは約5分遅れでの到着に。


野蒜駅の前後区間は東日本大震災のあと、大きく内陸に路線を移しました。


その駅で、地震でのダイヤ乱れに遭遇するとは……。


◆石巻駅からイベント会場へ
定刻より約20分遅れで列車は石巻駅に到着。石巻市は漫画家・石ノ森章太郎さんが第2の故郷としていた土地で、駅構内に仮面ライダーとサイボーグ009(009、003、001)の像がありました。


駅の外側には、まるで駅から飛び立とうとする002と、駅前を守るかのような003。これは石巻マンガロードとして、石ノ森萬画館までの道中に設置されている像の1つ。


そのため、ついつい「こんなところにもサイボーグ戦士が!」と目を奪われてしまいますが……


今回の目的地はコレ。


しかし、道中には仮面ライダーや……


アカレンジャーなど、石ノ森キャラクターが待ち構えていて、それぞれがポケストップとして登録されているのでついつい立ち止まってしまいます。


これはロボコンの石ベンチ。


かと思えば「津波襲来の地」の碑があり、改めて東日本大震災の被災地であると感じます。


駅から徒歩10分ほど、旧北上川の中洲に「中瀬会場」はあります。ちなみに、とても目立っている写真中央の建物が石ノ森萬画館。モニュメントは会場への道しるべでもあったわけです。


到着時点では萬画館は開館前でした。


会場近くにあった空き地。


ここには石巻ハリストス正教会がありましたが、3.11で大きな被害を受けたため、解体・移転しています。ポケストップとして設定されているのはその跡地で、これは「記憶のポータル」としてIngressの東北復興支援イベントのときに申請されたポータルがPokémon GOでもポケストップとして登場しているものです。


会場に到着。


◆会場風景
イベント概要はこんな感じ。「新たなポケストップ候補を探す」を軸としてサブイベントが用意され、この拠点会場には沿岸地域のグルメ・物販ブースが設けられています。


石巻までは東京から約3時間、仙台から約1時間。どれぐらいの人が集まるのだろうかと思っていたのですが、会場をうろうろとしていると見る見る間に人が増えてきました。


やがて、こんな感じに。人が散らばっているので「ぎっしり」という感じはしませんが、結構な人出です。また、新たなポケストップ候補を探しに会場から離れる方向へ移動する人も見かけました。


10時を過ぎると、牡鹿エリア・雄勝エリア・奥松島エリア・南三陸エリアの4方面に分かれてポケストップ候補を探す復興バスツアーの出発式が行われました。壇上には仙台・宮城観光PRキャラクターであるむすび丸の姿が。


バスツアーは先着50名が参加可能。地元ツアーガイドが同行し、約4時間30分かけてそれぞれのエリアを周遊するというもの。かなり興味深いツアーでしたが、参加してしまうと会場に戻ってくるのが14時30分ぐらいになってしまうということで、今回は出発をお見送りしました。

会場側のイベントもなかなかの充実。たとえば「タマゴふか大会」は、この日タマゴから孵化させたポケモンの重さを競うというもので、当日、対象ポケモンが発表されました。もともと、多くの人はラプラスを求めて石巻市内をうろうろと移動しているので、孵化させる機会が多いからか、かなり多くの人が参加していました。


Pokémon GOのイベントをやるなら必須ともいえるブースが「充電ブース」。


単に電源タップやmicroUSBケーブル、Lightningケーブルを置いておくだけだと占有されてしまいそうですが、使用時は受付証が必要で、それぞれ毎時00分・20分・40分から最大20分の使用というルールが設定されていました。「いつ空きができるんだろう」と待ち続けなくても大丈夫で、ちゃんと交代しつつ使えるようになっているのはナイスな仕組み。


◆ピカチュウのピカピカ☆フィーバー
ピカチュウたちとダンスを踊るイベントとして各地で開催されている「ピカピカ☆フィーバー」が石巻にもやってきました。まずはピカチュウと一緒に、ポケモンわざをモデルにした動きでストレッチをする「ポケレッチ」を行い、その後はピカチュウ大先生がダンスを教えてくれるコーナーに。


最初はお姉さんたちがダンスをピカチュウ大先生に見てもらっていたのですが、大先生はそのダンスにダメ出し。「こう踊るんだ!」といわんばかりにダンスを見せつけます。


そして5体のピカチュウと共にダンシング。

「ピカピカ☆フィーバー」ピカチュウ軍団がダンス - YouTube


かわいらしいダンスを見せてくれました。


なお、終了後はハイタッチ会が行われて、ここにも多くの親子連れが参加していました。

◆会場フード
わずか1日だけ開催のイベントですが、フードブースはかなり充実していました。


カキ汁は300円でカキ3粒入り。味としてはあっさりしつつもエキスが濃厚。


焼きアワビ(600円)


「ムチップリッ」という食感。


これでもかというセリ入りの名取せり鍋(300円)


仙台ずんだサイダー(300円)、タコチャウダー(300円)、気仙沼ホルモン(500円)。


ずんだサイダーには東北ずん子の姿が。


ずんだサイダーを販売していた七ヶ浜町ブースには「かんなぎ」グッズが並んでいて「そういえば舞台だった」と思い出しました。(ナギの神社は七ヶ浜町にある鼻節神社がモデル)


◆会場外の様子
忘れてはならないのは、期間限定でラプラスの出現率が上がっている地域に石巻市も含まれているということ。「Explore Miyagi」もですが、ラプラスを目指して来た人がとても多く、町中にはラプラスを求めて右往左往しては同じ場所に集まる人々の「群れ」ができていました。

「石巻マンガロード」はポケストップが多いこともあって、人通りでギッシリ。


テレビの取材クルーがちょうどラプラスを発見していました。ニュース番組か何かで使うのでしょうか。


こちらもラプラス捕獲の人々。


駅前まで戻ってくると、ここはここで人がいっぱい。ラプラスとは無関係に、ポケストップが多いのでルアーを設置してひたすらポケモンを集めているようでした。


ラプラスの力を実感したのは、明らかにメインストリートから離れたようなところでも、スマートフォンを手にうろうろする人を数多く見かけたこと。それはつまり、ポケモンを見つけるアプリを利用している人が今でも少なくないということでもあるのですが、ラプラスや比較的レアなポケモンの沸いた場所に向けて人の流れが生まれていて、「スマートフォンを持っている人が集まっているところに行けばガッカリすることは少ない」という状況が生まれていました。

「で、実際のところラプラスはどれぐらい手に入るのか」ということですが、まず朝、石巻駅から会場へ向かう途中に1匹目を発見・捕獲。


あまりにも早い発見に、「これはハロウィンの時のゴース並に捕獲できるのでは……」と喜んだのもつかの間、そこからは会場到着までラプラスは出ず、会場周辺でもラプラスは出ず、結局3時間待っても最初の1匹だけ。しかも、スマートフォンのバッテリーまでなくなってしまいました。「やはり積極的に動かなければ」ということで、予備として持っていたもう1台のスマホに切り替え、ラプラスを見つけたらしい人の動きについていくことに。

すると、11時7分に改めてラプラスの2匹目を発見・捕獲したのを皮切りに……


11時21分に3匹目


11時28分に4匹目


11時37分に5匹目


11時55分に6匹目……と、約1時間でまとめて5匹を発見し、うち4匹を捕獲することに成功。


見つけたすべてのポケモンを捕獲していたわけではないのですが、大体こんな感じに。


ちなみに、イベントのことを知らなかった地元在住の方があまりの人の数に驚いていて、「Pokémon GO」のイベントが行われていることを知ると「これがあのポケモン!こんなに人がいるのは、震災以来じゃないかな」と目を細めていました。東日本大震災から5年ですが、今も石巻市では復興事業が進められており、目的が「ラプラス探し」ではあっても、そこでご飯を食べたり、お土産を買って帰ったりすることは地元の助けになるはず。「Explore Miyagi」は終わってしまいましたが、ラプラスの出現はまだしばらく続くので、石巻に限らず、この機会に東北3県を訪れてみてください。


なお、帰りは中瀬会場と石巻駅のちょうど中間あたりにある中央三丁目バス停から高速バスに乗車しました。


これは駅からだと混んでいそうだという考えもあったのですが、予想は的中で、このあと経由した石巻駅前バス停には行列ができていました。運賃は800円とJRよりわずかに安いのですが、この日は石巻市内でかなり渋滞して、仙台駅到着は定刻より11分遅れでした。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「Pokémon GO Plus」実機プレイレビュー、どれぐらいポケモンGOのプレイが超絶楽ちんになるのか? - GIGAZINE

ポケモンGOに出てくる初代ポケモンたちをモチーフにしたスニーカーがそのまま注文できる「Pokémon Nike iD」 - GIGAZINE

ポケモンGOの新機能は「相棒ポケモン」、お気に入りのポケモンと一緒に歩き回ることが可能に - GIGAZINE

in 取材,   動画,   ゲーム,   , Posted by logc_nt

You can read the machine translated English article here.