地球にやさしい「モンスタートラック」、GMと米陸軍が共同開発

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ゼネラルモーターズ(GM)が米陸軍と共同開発した、燃料電池を使った厳ついトラックが発表された。燃料供給は数分で済み、静音で放出する熱も少ないため、極秘任務を遂行するうえで役立つと期待されている。

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ゼネラルモーターズ(GM)は2015年11月、米陸軍と組んで、燃料電池自動車(FCV)のピックアップトラックを開発すると報じられていた

そして10月3日(米国時間)、米陸軍協会(AUSA)の年次総会の席上で、このピックアップトラックの発表が行われた。米陸軍は、これから1年かけてミシガン州でテストを行う予定だ。

GMと米陸軍の戦車自動車研究開発技術センター(TARDEC)が共同で開発した「Chevy Colorado ZH2」の強化ボディーは、高さ6.5フィート(約198cm)、幅7フィート(約213cm)。37インチのタイヤ、およびオフロードハンドリング用に開発された特別なサスペンションで、どんな地形でも走破できる。

ZH2に搭載されているモーターは、水素燃料電池とバッテリーで駆動する。水素燃料電池の長所は、副産物が水だけということだ。そして電気で駆動するエンジンは、従来型の燃焼機関と比べて音も静かだ。また水素燃料電池は放出する熱も少なく、音響学的・熱学的な特性の軽減が望まれる極秘任務などの状況下では、この点が有用になるはずだとGMは述べている。

『WIRED』US版の記事によると、ZH2の水素燃料電池は、1時間に2ガロン(約7.6リットル)の水を生成するという。

このピックアップトラックには、GMが「エクスポータブル・パワーテイクオフ(EPTO)」と呼ぶユニットが装備される。EPTOとは簡単に言うと、25kWのバッテリーで、水素燃料電池によって充電され、クルマから取り外してほかの電気機器に動力を供給できるものだ。

もちろん、水素燃料電池がもつ課題は何十年も前から同じままだ。FCVは、電池式の電気自動車(EV)と違って、燃料の補給にかかる時間は数分だが、水素の貯蔵は高圧容器や超低温以外の条件では難しい場合がある。

だが『WIRED』US版は、この問題は米陸軍にとってそれほど深刻ではないかもしれないと述べている。戦車にも使われるジェット燃料「JP-8」供給用のタンクローリーを改造して水素を供給するなり、あるいはJP-8そのものから水素をつくるなりすればいいからだ。

米陸軍はZH2をGMから1年間賃借し、ミシガン州にある性能試験場でテストを行うことになっている。その性能試験場でZH2は、戦闘状況での使用が可能かどうかの評価を受ける予定だ。ちなみにGMはもともと、世界初のFCVである「Electrovan」を1960年代に開発している。

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