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総合商社、かつてない繁栄の時代へ…資源分野で巨額利益、「脱資源」論をあざ笑い

文=小川裕夫/フリーランスライター
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総合商社、かつてない繁栄の時代へ…資源分野で巨額利益、「脱資源」論をあざ笑いの画像1「Thinkstock」より

 大手商社の業績が絶好調だ。三菱商事三井物産、住友商事の3社は、2017年9月期の中間決算で連結最終利益見通しを上方修正した。また、三菱、住友、伊藤忠の3社は過去最高益となる見込みだ。

 各社首脳陣は記者会見で「これまで投資してきた“非資源”分野の事業の成果だ」と口を揃えた。濃淡はあれど、これまで大手商社の売上は資源分野に大きく依存してきた。天然ガス・石油・石炭・鉄鉱石など資源系取引は海外とのつながりに強く左右される。それだけに中小が立ち入れない分野で、大手商社が底力を見せつけられる分野でもあった。しかし、2010年代に入ると資源分野の拡大にブレーキがかかる。資源価格の下落も影響し、商社は非資源分野の開拓を進めるようになった。

 もっとも“脱資源”を鮮明にしたのは伊藤忠だ。以前から同社は資源よりも繊維に強みを発揮してきただけに、大手商社がこぞって“脱資源”に進む流れは伊藤忠にとっても好都合だった。“非資源ナンバーワン商社”を掲げる伊藤忠は16年3月期、最終利益で三菱を抜き業界首位に躍り出ている。

 しかし、今回の決算で伊藤忠は再び首位を明け渡した。なぜなら、各社の利益を大幅に引き上げたのは、ほかでもなく資源分野だったからだ。商社の売上を支えてきた資源価格は、このところ急速に回復している。だが、「そうした価格変動だけが要因ではない」と大手商社の社員は話す。

 常に、大手商社は海外で資源の権益を買い漁っている。そうした資源への投資は、日本だけの話ではない。世界には、日本の商社など足元にも及ばないビッグカンパニーがいくつもある。資源を取り扱うビッグカンパニーは、一般的に資源メジャーと呼ばれる。

 日本の製造業にとって、原料価格は自社の命運を左右する大きな要素だ。それだけに、資源メジャーが市場を寡占化する状況は、価格競争が起こりにくくなるので、好ましい状況ではない。資源の価格が高騰するだけなら製品の価格に転嫁していくことも可能だが、供給そのものを閉じられてしまう可能性だってある。供給が滞れば製造業は死滅し、国民生活にも影響が出る。

 そうしたことからも、「資源の権益を確保することは国益にかなった事業」(前出・大手商社社員)と口にする。

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