焼杉製作実演イベント 報告
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建物の外壁材に使用する伝統的材料「焼杉(やきすぎ)」。昔は多くの建物がこの「焼杉」で仕上げられていました。あらかじめ表面を焦がし、炭化状にしておくことで初期の着火性を低くし、耐火性能を持たせます。また、風雨にさらされる杉板の耐久性を高める役割も担います。
先人の知恵によって伝統的に使用されてきた「焼杉」ですが、最近は法規制や建物デザインの洋風化などによりその数は減っています。しかし香川の地においてはまだまだ使える場面も多く、「国産材を使う」という観点からも積極的に使用していきたいと考えています。何といっても無垢の木材ですから、全くの天然素材です。

「焼杉」は現在も建材メーカーなどで一般的に販売されていますが、その多くは薬品を使って色をつけたもの。実際に焼いたものもありますが、使われる数は少ないと思われます。私達はできるだけ実際に焼いた「焼杉」をお奨めしています。色はもちろん真っ黒で、手で触ると手が黒く汚れますが炭化状の部分が塗装に比べて厚い為、年月を経ても色合いが落ちにくくその風化の風合いがとても自然で美しいからです。

今回のイベントは、その「焼杉」を実際に焼いて作ってみようというもの。今、大工さんが実際に現場で「焼杉」を作るという場面は極めて少なくなりました。私自身も実際に見るのは15年ぶり2度目。貴重な実演でした。



今回の「焼杉」を実際に外壁改修に使用する「仁尾酢」のご夫妻をはじめ十数人の見学者の見守る中、実演が始まります。地元のケーブルテレビも取材に駆けつけてくれました・・。

 
今回、2種類の焼き方を実演しました。まずは名付けて「三角焼き」。杉板3枚を三角形に束ねて荒縄で縛ります。

中に「かんなくず」を詰め込んで点火します。


点火したら垂直に立てます。上部から炎が上がります。

頃合いを見計らって、荒縄を解きます。


できたてほやほやの「焼杉」。

次はもう一つの方法、名付けて「リム焼き」。
自転車のリムに沿わせて杉板を固定します。


「かんなくず」をたっぷり中に入れます。


点火!

けっこう激しい火柱が上がります。

頃合いを見計らって、板をバラします。
ばらすと不思議と瞬間に炎はおさまります。


表面に水をかけます。

見学者はほとんどの人が生まれて始めてみる光景のようで感心しきり・・。


板が反らないようにブロックで重しをかけて重ねておきます。

「焼杉」を実際に施工した様子はこちら

杉板をはずしたリムの状態。