東京都小金井市で、亜細亜大3年のアイドル、冨田真由さん(20)が刺され、意識不明の重体となった事件が波紋を広げている。傷害容疑で逮捕された岩埼友宏容疑者(27)=殺人未遂容疑などで送検=のストーカー行為を野放しにしていた警察への対応に批判が集中する一方、アイドルブームの裏側に潜むリスクも浮き彫りに。イベント会場などで「暴走したファンによるトラブルが頻発している」(業界関係者)というのだ。
冨田さんは、テレビ出演やCD発売などをせず、ライブを中心に活動する「地下アイドル」だった。「ライブアイドル」とも呼ばれる彼女らの出演イベントは都内各地で開催され、多くのファンが駆けつける。
岩埼容疑者もその1人だったとみられるが、やがて一方的にプレゼントを送りつけたり、冨田さんのツイッターやブログに「殺したい」「犯罪します」と脅迫めいた書き込みをしたりするストーカー男に変貌。冨田さんに凶刃を振るった。
業界では以前から、こうした事件を危惧する声が上がっていた。芸能プロダクション関係者は「ライブアイドルが出演するイベントは無法地帯。ファンが暴走し、アイドルや運営側ともめるケースが頻発しており、いつかこんな事件が起きるんじゃないかと思っていた」と声を潜める。
多くのイベントで、ライブ後に出演したアイドルと直接触れ合える「特典会」「物販会」と呼ばれる時間があり、記念撮影などが行われる。トラブルの多くはここで発生する。