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JOGAのガチャガイドライン、有名無実となるか。ガンホーとmixiはガチャで確率表示なし

2016年4月から新しいガイドラインを施行し、説明会を開いて「オンラインゲーム安心宣言」をしたはずの業界団体JOGA(日本オンラインゲーム協会)。
元々、抜け道だらけの規約しかなかったので有名無実と言われていたものの、この4月からは何かが変わると期待されていた……が、JOGAは何もできていないようだ。

説明会から時間がたっても、JOGAその会員の筆頭とも言えるガンホーとmixiは、ガイドラインの穴とも言える文面を利用し、ガチャアイテムの排出確率を表示していないのだ。

今、ガチャにはある変化が起きている。
『グランブルーファンタジー』の騒動から、ソーシャルゲーム業界内ではガチャの確率表示の機運が強くなり、CESAが「原則としてすべてのガチャアイテムの提供割合を表示」とするガイドラインを公開したのだ。
しかし、業界の雄とも言える現在ガンホーのパズドラ、mixiのモンストもガチャから排出されるアイテムの出現率を公開していない。

今回はまず、その仕組みから解説する。
JOGAにはガチャで提供するアイテムの確率表示などについては、下記の規定がある。
有料ガチャにおいてガチャレアアイテムを提供する場合、以下のいずれかを遵守するものとする。
a. いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額(その設定された提供割合から期待値として算定される金額をいう)の上限は、有料ガチャ1回あたりの課金額の100倍以内とし、当該上限を超える場合、ガチャページにその推定金額または倍率を表示する。
b. いずれかのガチャレアアイテムを取得するまでの推定金額の上限は50,000円以内とし、当該上限を超える場合、ガチャページにその推定金額を表示する。
c. ガチャレアアイテムの提供割合の上限と下限を表示する。
d. ガチャアイテムの種別毎に、その提供割合を表示する。
一見、「dに種別ごとに提供割合を表示しろと書いてある」ように見える。
だが、この項目はa~dのうち、どれか1つでも満たせればOKという規則があり、抜け道となっている。
パズドラとモンストは、aの項目を遵守しており、ガチャ100回以内でガチャレアアイテムが出るから、他の項目いある確率表示などはいらないというわけだ。

……もちろん、プレイヤーの皆さんは「100回引いても当たらない!」と思うことだろう。ここにもまた、抜け道が用意されている。
JOGAが定めるガチャレアアイテムの定義は下記の通りだ。
ガチャレアアイテム
有料ガチャにより提供されるガチャアイテムであって、同一の有料ガチャにより提供される他のガチャアイテムと比較
して、顕著な特徴を有するもの、提供割合が低いもの、または提供数や期間が限定されたもの等、顧客を誘引
する目的で提供されるものをいう。
つまり、「うちのガチャから出るものは、全部顕著な特徴を持っているんだ!」とメーカーが宣言すれば、すべてガチャレアアイテムにもできてしまう。
パズドラやモンストは、これを利用してガチャにレアガチャアイテムを大量に作っている。
たとえば、パズドラの最新のガチャのキャンペーンを見てみよう。
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ガンホーのレアガチャラインナップページを確認すると、ガチャから出現するモンスターの一覧と、そのレアリティや属性、そして「ガチャレアアイテムにあたるもの」が確認できる。
表のうち、◇マークがついているのがガチャレアアイテム。
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見ての通り、ガチャレアアイテムのオンパレード。実に236体中91体がガチャレアアイテム。そりゃ、100回引くうちに当たるのも納得だ。
プレイヤーからすれば「フェス限定」などの目玉アイテム以外は当たり、つまりガチャレアアイテムとは見なされないだろう。

一方、モンストでは確率アップキャラクターや出ないキャラクターは表示されているが、確率もレアガチャモンスターの表示もない。
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ガチャの確率に関して、『グランブルーファンタジー』から始まった一連の騒動は、「同じレアリティ内で出現率が同じだと思っていたのに違った」とか「あり得ないほど低い確率だった」などの声が上がっていた。
JOGAは新ガイドラインを「グラブル」のCygamesにも順守を要請(ITmedia ニュース)しており、そういった声を受けて「オンラインゲーム安心宣言」や説明会が行われたはずだ。

それに対して、ガンホーとmixiは個別確率を表示するどころか、JOGA規定の抜け道を利用して逃げている。特に、ガンホーの取締役が共同代表理事をつとめるJOGAで、ガンホーが規約ぎりぎりの表示をすることには大きな問題があるように思える。
これは、明確な法律違反でもJOGA規約違反でもない。しかし、世間的に見て「グレーゾーンを渡り歩いている」と思われるだろう。

両社の姿勢は、お知らせページにも見られる。
パズドラには、ガチャページからガチャの詳細を確認できるリンクがない。
ガチャレアアイテムの提供割合は、ガチャを引くときに確認できるべきで、それをガチャページに記載していないのは、安心して金を払えるゲームなのか疑問が残る。
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モンストに関しては、ガチャページにリンクはあるが情報が少ない。
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JOGAのガイドラインでは、有料ガチャについて、下記3点の情報を情報をゲームタイトルの公式サイトの「トップページもしくは有料ガチャを提供する各種画面またはこれらのページからリンクされたページに掲載し、利用者が容易にこれを閲覧できるようにする」必要がある。
a. 有料ガチャにより提供されるガチャアイテムについて、名称、イラストまたは種別等を用いて、利用者が獲得できる全てのガチャアイテムを予め確認できるように表示する。
b. 有料ガチャにおいてガチャレアアイテムを提供している場合、当該ガチャレアアイテムを表示する。
c. 有料ガチャにより提供数または提供期間が限定されているガチャアイテムを提供している場合、その提供数または提供期間等の内容を表示する。
10分ほど探したが、モンストの公式ページからaとbの規定を明示的に満たす情報は見つけられなかった。
パズドラでは、公式ページを確認すれば情報を確認できたが、初めてパズドラのガチャ情報を探しに行った筆者にはガチャページを探すのに数分かかった。
モンストの提供アイテムはどこかに表示されている可能性があるが、いずれにせよ、両者ともに「容易に確認できる」とは言いがたいだろう。

mixi、ガンホーともスマホゲーム業界の巨頭であり、自主規制団体が定めた(抜け道だらけの)規則を悪用し、有名無実化してしまえば、他のメーカーもそれにならい、規約の存在が意味をなさなくなってしまう。
過去、コンプガチャの規制に際してJASGAという業界団体が作られたが、まったく機能していなかった。
Greeが未成年に総額2800万円超過課金していた件は見過ごされたし、DQMSLの課金問題にも何ら発表なし
そして、世間の非難が収まるまでひたすら「自主規制するつもりです」とアピールしてやり過ごし、本当になにもせず解散していった。

今、JOGAもそれと同じ道を歩もうとしているように見える。

関連リンク:
JOGA有料ガチャのガイドライン