シンガポールで「公用PC10万台をオフラインに」の謎

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世界最速のネット接続を誇るシンガポール。しかし同国の政府は、セキュリティー強化のために公用PC10万台をネット接続できないようにすると発表した。

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シンガポール政府はセキュリティー強化のために、政府支給のコンピューター10万台をインターネットに接続できないようにすることを計画している、と報道されている。

フランス通信社(AFP)が6月9日(米国時間)に報じたところによると、業務遂行にネット接続が必要な政府職員は「ネット接続専用端末」を利用できるが、そうでない職員たちは、政府が支給した端末を使ってネットに接続することができなくなる。

政府職員はすでに、今回の変更に関するメモを受け取っている。それによれば、変更は1年をかけて段階的に行われるという。「公務に使用されているコンピューターは約10万台あり、そのすべてが対象となる」とシンガポール紙『ストレーツ・タイムズ』は書いている

AFPによれば、シンガポール政府は「一部職員の職場環境からネット接続を切り離し始めた。残りの職員についても、1年かけて段階的に同様の措置を執る予定だ」と述べている。

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シンガポール政府のウェブサイトは2013年、国際的ハッカー集団「アノニマス」によってハッキングされている。同国政府がニュースサイトに課した検閲規制に対応した攻撃とみられている。

シンガポールは世界有数のネット接続を誇り、Akamai Technologies社のレポート「State of the Internet」(インターネットの現状)によると、ブロードバンドの平均最高速度は世界最速の135.7Mbpsだという。また、多くの行政サーヴィスがオンラインで提供されている。今回の措置に懸念の声もあるが、行政業務は今後も変わらず行っていくと政府は述べている。

政府職員のインターネット利用はおおむね、自分が所有し、政府のネットワークやメールシステムにリンクしていない端末だけに制限される。「職員は、必要な場合には私用アカウントに業務用メールを転送できる」と『ストレーツ・タイムズ』紙は書いている。