【8月29日 AFP】国連(UN)は、中東・ゴラン高原(Golan Heights)でシリアとイスラエルの停戦監視任務に当たっていた平和維持活動(PKO)要員43人が28日、シリアの武装勢力に拘束されたと発表した。このほか要員81人が武装勢力の包囲下にあるという。武装勢力の一部は国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系という。

 ゴラン高原は、1967年の六日戦争(Six-Day War)でイスラエルが一部を占領した後、現在は「国連兵力引き離し監視軍(United Nations Disengagement Observer ForceUNDOF)」が両国間の停戦を監視している。

 フィリピン国防省によると、UNDOFに派遣されているフィジー軍所属の43人が、イスラエルとシリアの境界に近いクネイトラ(Quneitra)検問所付近のシリア側で、武器を取り上げられ拘束されたという。フィリピン軍所属の要員81人は武装解除を拒んで「陣地にとどまり」、武装勢力と睨み合いになっているという。

 クネイトラ検問所は、戦略上重要なゴラン高原でシリア側とイスラエル側を結ぶ唯一のルート。27日にアルカイダ系の「アルヌスラ戦線(Al-Nusra Front)」の戦闘員を含む武装勢力が同検問所を襲撃し、イスラエル軍と交戦している。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)は「テロリスト集団と非国家武装集団」によるPKO要員43人の拘束と81人の包囲を「強く非難」するとともに、「拘束されている国連PKO要員の無条件・即時の解放」を要求。関係各国に対し要員解放に向けた支援を要請した。

 国連のステファン・デュジャリック(Stephane Dujarric)報道官によれば、襲撃してきた武装集団は身元不明で「一部はアルヌスラに所属していると自称しているが、確認は取れていない」という。

 UNDOFにはフィジー、インド、アイルランド、ネパール、オランダ、フィリピンの6か国から1200人あまりが派遣されている。331人を派遣しているフィリピンは23日、治安上の懸念から要員を撤退させると発表していた。(c)AFP