写真●OCP準拠の日本向けラックシステムのイメージ
写真●OCP準拠の日本向けラックシステムのイメージ
(提供:伊藤忠テクノソリューションズ)
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 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2016年3月7日、米オープン・コンピュート・プロジェクト(OCP)の仕様に準拠しつつ、日本国内のデータセンター事情に合わせて導入を容易としたラックシステム(写真)を開発すると発表した。2017年3月の販売を予定する。電源、サイズ、価格という、米国仕様のOCP準拠ラックが抱える三つの弱点を解決するのが狙い。

 OCPとは、サーバー/ストレージ/ネットワーク機器やラックといったデータセンター設備の仕様を策定して公開している業界団体である(関連記事:Open Compute Projectが日本で会合、ラック仕様などを説明)。主に大規模データセンターに向けて、既存設備よりもコスト効率の高い設備を実現しようとしている。ただし、CTCによれば、OCP準拠のラックは米国での使用を前提に設計されており、日本向きではない。

 新たにCTCが開発するラックは、既存のOCP準拠ラックが抱えている(1)電源、(2)サイズ、(3)価格の三つの課題を解決する。

 (1)の電源については、入力電源の方式を日本のデータセンターに合わせた。米国で一般的な3相4線(200V/480V)に加えて、国内で使われている単相(100V/200V)や3相3線(200V)、さらにHVDC(高電圧直流給電)を選べるようにした。

 (2)のサイズは、OCP仕様の標準である21インチラックのまま、高さと奥行きをコンパクトに抑え、既存の19インチラックと同等にした。CTCが開発するラックのサイズは、高さ2000×幅600×奥行き1000ミリメートル。シェルフ(棚)のサイズは2OU(オープンユニット)。一方、米国仕様のラックは一般に、高さが2200ミリメートル以上、奥行きが1060~1070ミリメートルあるという。

 (3)の価格は、米国で販売されているOCP専用ラック(約70万円)の7割程度の価格帯を検討中としている。

 OCPラックの製品化に当たってCTCは、村田製作所とNTTデータ先端技術と協業している。NTTデータ先端技術が持つ集中電源方式の技術を用いて、村田製作所が電源ユニットの設計・製造を担当する。特徴は、個々のIT機器から電源を排除し、集中電源においてAC-DC変換を一括で行うことで電力効率を向上させること。5~10%の高効率化が期待できるとしている。

 出荷予定時期は、電源部分のサンプル出荷が2016年8月、ラックを含めた製品出荷が2017年3月。