ナチスの暗号を破った数学者、チューリングの伝記映画:カンバーバッチ主演の予告動画が公開

ナチス・ドイツの暗号を破ったことで有名だが、不幸な運命をたどった数学者アラン・チューリングを描いた伝記映画『The Imitation Game』の予告編が公開された。主役はベネディクト・カンバーバッチだ。
ナチスの暗号を破った数学者、チューリングの伝記映画:カンバーバッチ主演の予告動画が公開
VIDEO BY STUDIOCANAL UK, PHOTO BY BLACK BEAR PICTURES / STUDIO CANAL

苦難の道を歩んだ数学アラン・チューリングの生涯を描いた伝記映画『The Imitation Game』の予告編が公開された(2014年11月21日公開予定、日本では2014年12月にGAGAで公開予定)。

チューリングを演じるのは、TVドラマ「SHERLOCK」のシャーロック・ホームズ役などで知られるベネディクト・カンバーバッチだ。

公開された予告編は2通りある。国際版はアクションをより強く押し出した仕上がりになっていて、第二次世界大戦中にナチス・ドイツの暗号機「エニグマ」による暗号通信を解読しようとするチューリングの苦闘の背景に、たくさんの爆発シーンや、戦争で疲弊したロンドンの描写が散りばめられている。

一方、英国版の予告編は、チューリングの傲慢な性格や、当時の政治家や軍人たちとの対立を中心に、彼の人間像をより強く描いている(次のページで動画を掲載)。

チューリングの人生をテーマにした作品はこれまでにもあった。2011年のTV映画「Codebreaker」をはじめとして、数多くの短編シリーズやスペシャル番組が彼の業績を紹介してきた。だが、「コンピューティングの父」が社会にもたらした影響に焦点を当てたものとしては、今回の映画が最大級のものになる。

ドイツとの戦いにおいて連合国側に勝利をもたらし、現在のわれわれが理解しているコンピューティングの基礎をすべて築いたにもかかわらず、チューリングは戦後、ひどい仕打ちを受けた。

1952年には同性愛を理由に告発され、入獄する代わりに矯正のための化学療法を受けた(当時の英国では同性愛は違法だった。入獄か、化学的去勢を条件とした保護観察かの選択を与えられ、性欲を抑えると当時考えられていた女性ホルモン注射の投与を受け入れた)。

1954年に41歳で青酸中毒により死亡したが、彼の死が自殺だったのか単なる事故だったのか、議論はいまもなお続いている。

チューリングは2013年にようやく、英国の国王大権による恩赦(PDFファイル)が認められた。これはチューリングの生誕100年に当たる年だった。

TEXT BY MATT KAMEN

VIDEO BY STUDIOCANAL UK

PHOTO BY BLACK BEAR PICTURES / STUDIO CANAL TRANSLATION BY SATOMI FUJIWARA/GALILEO