猿ヶ森砂丘

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猿ヶ森砂丘
猿ヶ森地域の海岸
猿ヶ森砂丘の位置を示した地図
猿ヶ森砂丘の位置を示した地図
青森県内の位置
場所 青森県下北郡東通村
座標 北緯41度18分46秒 東経141度25分17秒 / 北緯41.312647度 東経141.421424度 / 41.312647; 141.421424座標: 北緯41度18分46秒 東経141度25分17秒 / 北緯41.312647度 東経141.421424度 / 41.312647; 141.421424
全長 約17 km
約2 km
下北半島の東海岸に位置する
航空機より臨む猿ヶ森砂丘(手前)

猿ヶ森砂丘(さるがもりさきゅう)は、青森県下北郡東通村尻労しつかりから小田野沢までの太平洋沿岸に広がる海岸砂丘[1]。「鳥取砂丘の30倍の広さを持つ砂丘」として取り上げられることが多いが誤りであり、また「日本一広い砂丘」とも確認されていない[2]。(後述)

概要[編集]

幅は東西約2 km、長さは南北約17 km[1]、約6000年前の縄文海進期以降に太平洋からの砂が堆積して形成された[3][4]

「猿ヶ森」の名は、アイヌ語の「サル・カ・モライ」(湿地の上流にある流れの遅い川)に由来すると考えられている[3]下北砂丘(しもきたさきゅう)とも呼ばれる[5]

「鳥取砂丘の30倍の広さを持つ砂丘」という誤解は、砂丘と砂浜、更には砂浜全体と市区町村域でのデータが混同されたことで、日本一広い15,000 haもの面積を誇る砂丘という誤情報が広まったものであるが、本来の猿ヶ森砂丘の広さは広く見積もっても約3,000 ha程度である[2]。なおこの際、鳥取砂丘の面積は逆に過小評価されており、結局のところ猿ヶ森砂丘と鳥取砂丘の面積は同程度である[2]。同じ青森県内の反対側(津軽地方)に位置する屏風山砂丘や鳥取砂丘など、他の大規模な砂丘との正確な比較もされていない[3]。ちなみにその鳥取砂丘の面積も日本一ではないとされている[6]

ほぼ全域が防衛装備庁の下北試験場(弾道試験場)となっており[5]、ほとんどの場所で一般人の立ち入りは出来ない。

ヒバの埋没林は数少ない観光スポットで、現在、目にすることが出来る「猿ヶ森ヒバ埋没林」は約800 - 1000年前のものとされ、青森県の指定自然環境保全地域にもなっている[4][7]。かつて下北半島にはヒバの森が広がっていたが[4][7][8]、自然現象による砂の移動と製鉄のための砂鉄採集や森林伐採など人為的な撹乱によって埋没林が形成された[4]

砂丘には大小20前後の砂丘湖が散在しており、大沼と左京沼はヒメマリモが生息している[3]。また、砂丘の後背湿地にはハマニンニクコウボウムギケカモノハシの群落などの植生が見られ[9]コウベツブゲンゴロウオオヒメゲンゴロウエゾゲンゴロウモドキエゾコガムシなどの水生昆虫が生息[9]、砂丘上ではオオマキバサシガメニッポンハナダカバチの生息が確認されており、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」(重要湿地)に指定されている[9]。砂丘にある沼は北から順に、

  • 丸沼
  • 小沼
  • 井戸沼
  • 妹沼
  • 姉沼
  • 長沼
  • 大沼
  • タカ沼
  • タテ沼
  • 赤川沼
  • 片貝沼
  • 左京沼
  • 荒沼

などがあり、この他小さな沼が多数ある。

出典[編集]

  1. ^ a b 猿ヶ森砂丘”. ぐるりんしもきた. 2020年1月17日閲覧。
  2. ^ a b c 下北ジオパークによる投稿 - Facebook
  3. ^ a b c d 猿ヶ森砂丘エリア | 下北ジオパーク|公式ホームページ”. 下北ジオパーク推進協議会. 2023年1月7日閲覧。
  4. ^ a b c d 猿ヶ森ヒバ埋没林”. 東北森林管理局 (2014年2月13日). 2020年1月17日閲覧。
  5. ^ a b 防衛省 東北防衛局特集 防衛省技術研究本部下北試験場」(PDF)『東北のかなめ』Vol.11、防衛省 東北防衛局 広報編集委員会、2010年4月30日、2頁、2020年1月17日閲覧 
  6. ^ 鳥取砂丘のここが日本一! !”. 鳥取県生活環境部 自然共生社会局 自然共生課 (2024年2月24日). 2024年2月24日閲覧。
  7. ^ a b 青森県”. 日本海岸林学会 (2016年12月27日). 2020年1月17日閲覧。
  8. ^ 東通原子力発電所「シリーズ15 ふるさと見聞録 猿ヶ森を訪ねて」(PDF)『しおさい』vol.16、東北電力 東通原子力発電所 広報課、2018年3月23日、2-3頁、2020年1月17日閲覧 
  9. ^ a b c 「重要湿地」 No.078 猿ヶ森砂丘と後背湿地”. 環境省 (2017年6月6日). 2020年1月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]