発達障害とコミュニケーション~平田オリザさんの「わかりあえないことから」を読む~

劇作家平田オリザさんの著書「わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か」をもとに発達障害のある人がこの社会を生き抜く上で必要なコミュニケーション能力とは何か、考えてみました。 https://www.amazon.co.jp/dp/4062881772/
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松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

以前、@OQCeeee先生が紹介していた劇作家の平田オリザさんが書いた「わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か」を読んだ。発達障害のあるお子さんへのコミュニケーション療育を考える上で、示差されることが多かった。

2016-06-11 18:42:30
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

経団連の調査によれば企業が新入社員に求める能力の第一位は8年連続で「コミュニケーション能力」である。しかし、企業が求めるコミュニケーション能力は、一種のダブル・バインド(二重拘束)に陥っていると、平田さんは指摘する。

2016-06-11 18:45:18
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

コミュニケーション能力と称して、表向きには異なる文化・価値観を持った人にもきちんと自分の考えを伝えられる「異文化理解能力」を求める一方、「上司の意図を察して機敏に行動する」「空気を読んで反対意見を言わない」「輪を乱さない」といった協調性をも求めるという矛盾を平田さんは指摘する。

2016-06-11 18:51:51
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

異なる価値観の人たちと一緒にやっていくための「社交性」と、同一の価値観を持った村社会で求められる「協調性」。どちらが良い、悪いというのではない。コミュニケーション能力を求める側の人間がこの二つの矛盾する力を同時に求めていることに気づいていないのがいけない、と平田さんは言う。

2016-06-11 18:54:48
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

その上で、国際化・多様化が進む社会にあっては、「協調性」を基調とした日本のコミュニケーション文化は相対的に少数であることを認識し、どちらかといえば多様な価値観を持つと一緒にやっていくための「社交性」を伸ばすことが日本人の課題であろうと結んでいる。

2016-06-11 18:57:17
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

平田さんの指摘する、コミュニケーション能力と言って「社交性」と「協調性」と混同するなという指摘は、発達障害のあるお子さんへのコミュニケーション力の指導にも言えることだと思う。ただ、発達障害の場合は少々事情が複雑であるようにも思う。

2016-06-11 19:03:56
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

すなわち、発達障害のある人にコミュニケーション能力を身につけさせようという試みが、しばしば、「協調性」を身につけさせるためだけ、言い換えれば既存の社会の価値観に従属させるためだけの訓練だと誤解されている、ということだ。

2016-06-11 19:06:54
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

実際には、これからの社会に必要なコミュニケーション能力とは、平田さんの言葉を借りれば、「社交性」「異文化理解能力」「合意形成能力」といった多様な価値観を持つ人たちと上手くやっていくための力なのだ。

2016-06-11 19:12:46
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「多様な価値観を認める社会=発達障害のある人が生きやすい社会」と考える向きがあるが、一概にそう言い切れない部分がある。自分独自の価値観を認めてもらおうとするなら、相手の価値観も認めつつ、妥協点を見出すだけの「異文化理解能力」または「合意形成能力」が必要になる。

2016-06-11 19:19:37
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

金子みすずが「みんな違ってみんないい」という。しかし、そんなことはない、「みんな違って、みんなたいへん」なんだ、と平田さんは言う。「しかし、その大変さから目をそむけてはならない」とも。現代のコミュニケーション療育の存在意義もまた、こうしたところに求められるべきだと思う。

2016-06-11 19:22:09
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

発達障害はコミュニケーションの障害だから訓練しても仕方ないという意見もあるが、私は大いに可能性を感じている。発達障害のある人に協調性を身につけてもらうのはあるいは難しいかもしれないが、社交性を身につけてもらうことはできると思う。

2016-06-11 19:31:16
一刀斎_森毅教授の名言_bot @moritsuyoshibot

社交性というのは、異文化と付き合うことを面白いと考えること。自分と年が違ったり、ジャンルが違ったりする人と付き合っていく。そういう人と付き合ってみることで、世界が広がっていく。今の時代は、明らかに抑圧されすぎているのです。

2016-06-08 14:13:58
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

多様な価値観を持つ人同士で上手くやっていくための「社交性」を身につける手段として、平田さんは「わかりあえない経験をする」ことが重要だと指摘している。これは私もアナログゲームを使ったコミュニケーション療育を行う中で、非常に感じていることである。

2016-06-11 19:40:12
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「わかりあえない経験をする」ことの重要性は、下記の #発達ナビ の記事で指摘した、同世代の子どもたちと関わることの重要性とも関係している。 h-navi.jp/column/article…

2016-06-11 19:44:23
松本太一@アナログゲーム療育 @gameryouiku

「社交性」は同世代、同等の関わりの中で身につくものだと思う。大人は自分のことを理解してくれるからよいが、同世代の子どもは自分のことを理解してくれるとは限らない。それが「わかりあえない(にも関わらず互いの関係は壊れない)経験」をすることに繋がる。

2016-06-11 19:45:25
楽しい療育の三輪堂@療育の知恵で生きていく @adviceforautism

お子さんの社交性は、保護者→親しい大人→同年代の子供、の順で広がっていきます。クラスのお友達と関わりを持ちにくい場合は、保護者以外の親しい大人とどのように触れ合っているかを観察してみましょう。何かヒントが見つかるかもしれません。

2016-06-10 22:15:07