【11月3日 AFP】推定樹齢5000年とされる英国のイチイの古木が雄株から雌株へ「性転換」しつつあると、植物学者が2日、発表した。科学的に十分解明されていない「極めてまれで特異な」現象だという。

 この現象が起きているのは、英スコットランド(Scotland)中部パースシャー(Perthshire)にある「フォーティンゴールのイチイ(Fortingall Yew)」の名で知られる古木。記録では数百年前から雄株となっているが、最近になって実をつけ始めたことが確認された。

 これは、このイチイの木の少なくとも一部で性別変化が起きていることを示唆しているという。

「フォーティンゴールのイチイ」に実がなっているのを発見した英エディンバラ王立植物園(Royal Botanic Garden Edinburgh)のマックス・コールマン(Max Coleman)氏は、「極めてまれな出来事だ。非常に珍しい異常現象であり、十分に解明されていない」と述べている。

「ホルモンのような化合物のバランスに変化が生じ、性別の転換を引き起こしていると考えられる。そのきっかけは、環境ストレスかもしれない」(コールマン氏)

 ただしコールマン氏によれば、このイチイの古木は見たところ健康で、現在、今後の変化について詳細に観察中だという。

「フォーティンゴールのイチイ」は古い教会の敷地内にある。幹の中心部がかなり以前に朽ちてなくなってしまっているため樹齢の特定が難しく、推定樹齢は1700年代の記録と幹の太さを比較して試算された。(c)AFP