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ソニー「プレステVR」、399ドルで試すヒットの法則

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 3月14~18日、米サンフランシスコで世界最大のゲーム開発者会議「GDC2016」が開かれた。会場で最大の関心を集めていたのが、いよいよ普及期に突入するバーチャルリアリティー(VR=仮想現実)用のヘッドマウントディスプレー(HMD)だ。その中でも、特に注目を集めたのがソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の記者会見だ。据え置き型ゲーム機「プレイステーション4」用のVRHMD「プレイステーションVR」(以下、プレステVR)の価格と発売時期が明らかになったからだ。将来的にはパソコンとの接続も視野に入れているプレステVRの、市場へのインパクトを探った。

SCEは今年10月、日本・米国・欧州でプレステVRを同時発売する。価格は399ドル。国内の値付けは4万4980円だ。アンドリュー・ハウス代表取締役社長のプレゼンテーションはたった15分で終了したが、会場を熱気の渦に巻き込むには十分だった。プレステVRが価格以上の完成度の域に達していたからだ。

高いハードの完成度、ゲームタイトルも充実

会場脇には、集まったメディア関係者向けに、プレステVR対応ゲームを体験できるコーナーが用意されていた。その数、20タイトル。VRは実際に体験しないと、そのすごさを実感しにくい。その意味で貴重な機会だった。

実際に試したプレステVRのハードとしての完成度は、非常に高かった。特に、有機ELパネルに表示される映像は、鮮明で美しい。VRの特性を生かしたシューティングゲーム「レズ インフィニット」や戦車アクションゲーム「バトルゾーン」、レースゲーム「ドライブクラブ」などを実際にプレーしたが、テレビモニターのパネルサイズから解放され、快適に遊ぶことができた。特にレースゲームは、現実世界の自動車を運転しているとしか思えないほどリアルで、一度VRHMDを使ってしまうと、二度とテレビモニターを使いたいとは思わなくなるだろう。

ボタン一つで頭に着脱できる操作性や自然なフィット感も、競合製品には見られないプレステVRの優れた点だ。家電製品を手がけてきたソニーの「血」を受け継ぐ出来栄えである。

対応ゲームは、大手メーカーや小規模の独立系ゲーム会社を含め、230本以上のタイトルの開発が進んでいる。アンドリュー社長は「年末までに50タイトル前後のゲームをリリースする予定がある」とアピールした。これだけの条件がそろえば、プレステVRの発売直後に品薄状態が続くことは想像に難くない。

もちろん、今月発売の高性能VRHMD「オキュラスリフト」(価格599ドル、日本円では送料・税別で8万3800円)や4月発売の「HTCヴァイブ」(価格799ドル、11万1999円)と比較すると、映像の精密さでプレステVRは劣る。ただし、これらの高性能モデルは、プレステVRより価格が2倍近くする。さらに、動作させるには15万円以上の高性能パソコンが必須のため、一般のユーザーが簡単に購入できる代物ではない。一方、プレステ4とプレステVRをまとめて買っても9万円程度で済む。VRHMDをかじり始めるユーザーには、魅力的な価格帯だろう。

VRHMDは、高性能パソコンを必要とする「ハイエンドVR市場」と、スマートフォン(スマホ)を使って手軽にVRを体験できる「スマホVR市場」に大別できるが、価格が明らかになったプレステVRはその中間の「ミドルレンジVR」ともいうべき新しいセグメントをつくれる可能性を秘めている。現時点では、プレステVRのみで競合製品がないため、有利な状況をつくれると考えていいだろう。

すでに欧米圏の開発者の間では、VRHMDが成功するか否かに疑問を挟む余地はなくなっている。課題はあるが、VRが持つ強力な魅力は短期的なブームにとどまらず、長期に渡りゲーム産業やIT(情報技術)産業全体に影響を与える技術になるという認識が広がっている。開発者の関心事は、「VRHMDがどれくらいの速度で一般ユーザーに普及するか」「普及を後押しするソフトは何か」に移りつつある。

プレステVRがパソコンの周辺機器に?

400ドルを切るプレステVRだが、 SCEのエグゼクティブ ヴァイス プレジデント兼PSプロダクト事業部長兼ソフトウェア設計部門長の伊藤雅康氏は「開発当初から、この価格を目標にして開発してきた」と明かす。「これまでのプレイステーションの歴史で、399ドルの値付けをすると、売れ行きが変わることを経験している。安価とまでは言わないが、VRに関心を持っているユーザーなら購入に踏み切れる価格帯だと思う。製造原価が売値を上回っているわけではないので、ハード単体でも赤字にならない」(伊藤氏)

プレステVRは元々、16年上半期に発売する予定だったが、10月へと発売が延期になった経緯がある。その理由について伊藤氏は、「販売チームが『これだけ売れる』とはじき出した台数が、当初想定していた台数よりも多かった。全世界に行き渡る数を満たすため、製造に時間を割く必要があった」(伊藤氏)と語る。

同社は販売予定台数を明らかにしていないが、関係者の話を総合すると、年内に100万~200万台の出荷を見込んでいる。プレステVRは品質にこだわっており、日本国内を中心に製造している関係で、簡単には供給量を増やせない課題を抱えているようだ。

ゲーム機本体であるプレステ4は、SCEの発表によると、1月時点で全世界3600万台の販売に成功している。プレステシリーズとしては、過去最速の売れ行きだ。年内に4000万台を超えるのは、まず間違いない。そのプレステ4のユーザーのうち、約5%が購入するだけで、プレステVRが品切れとなる計算だ。発売直後から品薄状態になるのは不可避だろう。

さらに興味深い情報がある。プレステVRは、単なるプレステ4向けの周辺機器にとどまらないのだ。先述の伊藤氏は「今すぐではないが」と前置きした上で、将来的にプレステVRをパソコンと接続して利用できるようにする計画を検討中であることも認めた。「プレステ4は元々、内部パーツがパソコンに近いため可能性はある。今はゲームに集中しているため、何かを発表する段階ではないが、さまざまな分野に広げられるだろう」(伊藤氏)

伊藤氏は、コストダウンについてもこう語る。「これまでのプレステのハードが行ってきたように順次コストダウンを進め、安いVRモデルを出していきたい。それにより、末永くVRを売っていきたい。VRは、ゲームのハードのありかたをガラリと変える可能性を秘めている。デザインは変わっていくかもしれないが、スタンダードなものにしたい」

国内では立ち上がりで苦戦か

今回の会見は、米国で実施したこともあり、欧米圏にアピールしたいゲームに絞って発表が行われた。一方、日本のユーザーが期待する国内大手ゲーム会社の有力タイトルは発表されなかった。今後、別の機会で、日本向けのゲームタイトルを発表する予定のようだ。

国内では、昨年の年末商戦からプレステ4の販売台数が増加し始めたが、総販売台数は250万台程度で、欧米圏ほどの市場ができあがっていない。据え置き型ゲームと比べスマホゲームが強すぎるためだ。そうした背景もあり、国内大手ゲーム会社の多くはプレステVRへの本格投資に前向きとはいえない。国内でプレステVRの発売当初から十分な収益を生み出せるかは不透明といえよう。

それでも、プレステVRは欧米を中心に爆売れするのは間違いない。SCE単独ではなく、ソニーグループとしてVRをどのように戦略的に位置づけるのかというグランドデザインはまだ見えていないが、「大きな武器」を獲得しつつあることは間違いない。

新 清士(しん・きよし) 1970年生まれ。慶応義塾大学商学部および環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。デジタルハリウッド大学大学院非常勤講師、立命館大学映像学部非常勤講師も務める。著書に電子書籍「ゲーム産業の興亡」、「『侍』はこうして作られた」がある。

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