携帯電話の生みの親が語る開発秘話と「体内埋め込み式携帯電話」など今後のモバイル端末の展望
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今やほとんど全てと言ってよいほど多くの人が携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末を使って生活を送っていますが、全ての原型となる「最初の携帯電話」は、モトローラ社の元エンジニアであるマーティン・クーパー氏らにより開発されました。最初の携帯電話の発明者と呼ばれるクーパー氏が開発当初の様子や今後のモバイル端末の展望についてインタビューで語っています。
Meet The Inventor of the First Cell Phone - YouTube
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この男性が携帯電話の原型を開発したマーティン・クーパー氏。右手には世界初の携帯電話、そして左手には最新式のスマートフォンを持っています。
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少年時代のクーパー氏は、街で子どもたちが虫眼鏡を使って紙を燃やしているのを見て、「自分でもやりたい」と思ってコーラのビンを割ってレンズの代わりにしようとするくらいに好奇心旺盛な人物でした。その試みは失敗に終わりましたが、当時からクーパー氏は「将来はエンジニアになるんだ」という自分の気持ちに気づいていたといいます。
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1970年代初頭には、クーパー氏はモトローラ社での職に就いていました。当時のモトローラはトランシーバーのような「ウォーキー・トーキー」などの無線双方向通信システムを事業の中核としている企業でした。
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一方、アメリカ最大の通信会社だったAT&Tは、地域を小さなセルで区切って電波をやりとりする「セルラー方式」の電話システムを発明し、より多くの人が電波を使って通話できる技術を開発しました。
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そしてモトローラに逆境が訪れます。アメリカ国内の通信事業を監督する連邦通信委員会(FCC)がAT&Tに電波使用の許諾を与えることを検討します。
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電波の使用許諾をAT&Tに一任することで業務を効率化するための方策でしたが、これはモトローラにとって電波を自由に使えなくなるということを意味し、事業を継続できない事態に陥ってしまう危険さえありました。
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そこでモトローラはAT&Tを相手に戦いを挑みます。モトローラはFCCに対して訴えを起こしたり、政府機関への働きかけを行うなどして政治の中心地・ワシントンでの存在感を強め、AT&Tによる独占体制ではなく競争市場を作ること、そしてAT&Tが進めているような自動車電話ではなく、持ち運びが可能でいつでも使えるモバイル端末、つまり携帯電話を提案しました。
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その有用性を示すため、クーパー氏を含むモトローラは実際の端末を試作します。これがまさに現在の携帯電話の原型といえるものなのです。
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この時代のAT&TやFCC、そしてモトローラを取り巻く興味深いエピソードは、以下のページで詳しく知ることができます。
(PDFファイル)海外の移動通信(その1) アメリカの移動電話 NTTドコモ
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1973年8月、クーパー氏は報道陣を引き連れてニューヨークの街角へと繰り出します。これは実際に携帯端末の使用風景を見せることでその便利さを世間に知らしめようとするクーパー氏の戦略だったのですが、そこで電話をかけた相手は、なんとモトローラの宿敵、AT&Tの技術部門を率いるジョー・エンゲル氏だったのです。
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番号を入力すると、ほどなくしてエンゲル氏が電話口に出ました。「やぁジョー、クーパーだ。いま僕は君に携帯電話から電話をかけている。本物の携帯電話さ。パーソナルで手に持つことができ、持ち運びが可能な携帯電話だ」そう話しかけると、エンゲル氏はしばらく言葉をなくして無言だったとクーパー氏。
「おそらく、電話の向こうで歯ぎしりしていたんだと思うよ。でも彼は礼儀正しく答え、静かに電話を切った」
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「同僚を含め、みんなホッと安心したと思う。なぜなら、まだ現代のチップセットのようなものはほとんどなく、本体の中には何千という部品が基板にハンダづけされていた。当日はモトローラのエンジニアが常にスタンバイしており、万が一の事があった場合にもすぐ対処できるようにしていた」
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「これが、世界で初めて公衆の中で行われた携帯電話による通話だよ。おそらく今でもジョーはあの時のことを腹立たしく思っていると思うよ」と笑うクーパー氏。さらに「携帯電話の発明は重大な出来事だったと思う。それは、車輪の発明と同じぐらいに重要なものだったはずだ」と、その日が歴史の転換点であったことを語っています。
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◆携帯電話の将来
文字どおり「携帯電話の生みの親」であるクーパー氏は、今後のモバイル端末の発達についても展望を語っています。
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「今はまだ、携帯電話がどのようなものであるのか、人々は学び続けている段階だと思う。携帯電話に秘められた『本当の力』を見いだすまでには、今後もいくつかの世代を経ていく必要があるように思うよ」
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「こんな風な平べったい物体を耳に当てて話すなんて、まったく不自然なものだ」
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「今後も『話す』という機能そのものは残り続けるとは思うが、将来はパワフルなコンピューターを搭載した小さなチップを耳の後ろあたりに埋め込むことで通話ができるようになり、さらに考えるだけでいろいろな操作ができるようになるでしょう」
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「また、そのほかにも体の中に埋め込むことで体の機能や状態を管理できるようなデバイスが登場することになるでしょう」
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「そしてその機能は、私が『パーソナル・サーバー』と呼んでいる仕組みを通じて自分以外の外の世界と通信することになるでしょう」
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「そんな未来を形にするのは、ソフトウェアでしょう。現在、何万と存在しているアプリの中から、本当に自分にあったものを見つけるのは非常に難しいです。そこで、人工知能(AI)が役に立つようになるでしょう」
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「AIが進化して優れた性能を手に入れた時、AIはユーザーの『執事』としてあなたが必要なアプリを自動で探してきてくれるのです」
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「今は人間がアプリを探しに行っていますが、将来はアプリが私たちを見つけてくるのです。すごいと思わないかい?」
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「私はこれからもこの世界に携わり続けて、全てのことを見届けたいと思っている」
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「しかし実際には実現することはないだろうから、私の後継者がこのイスに座り、夢を実現させてもらえたらいいね」と今後の発展の展望を語っていました。
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