99u:Kat McGowan氏は、「Aeon」に発表した研究で、「他人の作品を模倣することが、プロとしての大罪と見なされるのは理不尽であり、むしろイノベーションには不可欠な行為である」と提言しています。

人類の歴史において、私たちが重要視している技術的進歩をふくむイノベーションは、模倣によって促進され、持続されてきました。模倣こそ、人類が石器のナイフからリモコン操縦の無人機へ、穴を掘る棒から殺虫成分を自己生成する作物の開発への移行を可能にした大きな力です。

イノベーションを起こすことができる動物はたくさん存在しますが、地球上において人類のような技術力と正確さで模倣できる種はほかに存在しません。私たちは生まれついての模倣の達人なのです。人間であることは、すなわち模倣することです。

もちろん、ここでいう模倣行為には完全な盗用はふくまれませんし、盗用行為は常に悪いことです。McGowan氏が論じている、こだまのように繰り返される行為は盗用ではなく、他者の革新的な進歩から手がかりを得て、新しいことを構築する行為の一部分なのです。

赤ん坊は大人をまねることで歩き方を学びますし、作家は本棚いっぱいの本を読むことで、文章のつなぎ方を学びます。また、起業家は既存組織の成功から学ぶことによって、市場の流れを変えるような会社を創設するのです。

テクノロジーの歴史が示しているように、進歩はたいていの場合、すでに良いものに誰かがわずかな改善を加えて、ちょっと性能を良くする焼き直し行為から生まれます。このわずかな改善が何世代にもわたって積み重ねられた結果、青銅器時代にはまっすぐだったピンが、トーガ(古代ローマの外衣)の留め具になり、やがて安全ピンになったのです。

通貨は貝殻が起源ですが、硬貨へ発展し、紙幣へと多様化し、ついにはビットコインや難解な金融派生商品(デリバティブ)のように仮想的なものになりました。このようにして、独力ではおそらく誰も発明できなかったであろうテクノロジーが生まれるのです。

イノベーションは天才の稲妻のようなひらめきの結果ではなく、既存の知識を繰り返し改善し続けた結果です。ですからぜひ「GitHub」でほかの開発者のコードを借り、感謝の念をもってそのコードを使い、何か新しいものを構築しましょう。

コミュニティのほかのメンバーの助けなくして新しい物を構築できなかったとしても、後ろめたく感じる必要はありません。私たちの祖先がそのように感じていたら、そもそも借りるコードすら存在しなかったでしょうから。

Here is Your Official Permission to Be a Copycat|99u

Allison Stadd(原文/訳:Conyac

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