【4月15日 AFP】国連安全保障理事会(UN Security Council)は14日、イエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系武装組織「フーシ派(Huthis)」に対する武器の禁輸措置を発動するとともに、フーシ派に制圧地域からの撤退を求める決議を採択した。フーシ派が攻勢を強めたことで、国連が支持するアブドラボ・マンスール・ハディ(Abd-Rabbo Mansur Hadi)暫定大統領は国外への脱出を余儀なくされている。

 ヨルダンと湾岸諸国が提案したこの決議案の採決では、15理事国のうち14か国が賛成した。1か国だけ、フーシ派を支援しているイランと友好関係にあるロシアは、拒否権は行使せずに棄権した。

 この決議は、ヨルダンの隣国サウジアラビアが主導するアラブ合同軍が先月26日、フーシ派と同派を支援する反政府部隊に対する空爆を開始して以来、安保理が初めて正式に講じた措置となった。

 決議ではフーシ派に対し、ここ数か月の攻撃で制圧した首都サヌア(Sanaa)やその他の地域からの撤退を求めている。またフーシ派とその支援組織に対する武器の禁輸も義務付けた。ロシアは決議案の採決に先立ち、この武器禁輸措置を、衝突している全当事者に発動するべきだと訴えていた。

 さらにこの決議で、フーシ派指導者アブドゥルマリク・フーシ(Abdulmalik al-Huthi)氏と、アリ・アブドラ・サレハ(Ali Abdullah Saleh)前大統領の長男のアハメド(Ahmed Saleh)氏に対し、渡航禁止と資産凍結の制裁を科した。

 約30年間独裁体制を敷いたサレハ前大統領は、1年に及ぶ全国規模の抗議行動を受けて2012年に退陣。フーシ派は、サレハ前大統領を支持する部隊と手を結んでいる。

 この決議案にはロシアが要求していた人道的停戦は盛り込まれなかったが、その代わりに人道的停戦に向けた交渉努力を強化するよう潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)国連事務総長に求める内容が入れられた。(c)AFP/Carole Landry with Fawaz al-Haidari in Taez