「問題解決」は通常、複雑でシリアスなタスクだと教えられます。そこにはたくさんの難しい単語、たとえば「譲歩」やら「妥協」やらが並びます。一方、私たちは、創造性というものは、殿堂の奥深くにあり、高貴なたたずまいで、キャンバスと画架に掲げられて鎮座しているものだと想像してしまいます。しかし、そんなことはありません。ちょっとした工夫で、毎日の問題解決を、創造性のトレーニングにすることができます。

以下にあげるのは、クリエイティブ思考により、より効果的に問題を解決するための4つの方法です。

1. 問題を再度記述してみる

問題解決の出発点は、問題そのものであることがあります。問題解決が進まずにはまっているときは、1歩引いて、問題について詳細に検討してみるのが良いかもしれません。

認知心理学者のアート・マークマン氏は、著書『スマート・シンキング』のなかで、「クリエイティブな問題解決の基本的な考え方は、自分は問題解決の手がかりとなることを知ってはいるが、今はそこに考えがたどりついていないという仮定です。解決しようとしている問題について多面的に描写すれば、自分が知っていることを、それだけたくさん思い出すでしょう」と語っています。

問題の再描写というプロセスの中で、問題の一面や、細かな詳細を無視していたために、自分の考え方がずれていたることに気付くことがちょくちょくあります。誰かと合意できずにいるときは、このように問題を再描写することが、頭を冷やして足並みをそろえるための良い方法になりえます。

2. 問題に対する見方を変える

問題を再度記述する方法(手段、見方、前提条件など何でも)を見つけることができると、今まで隠されていた新鮮な見方に気づくことがよくあります。

何年か前、私はウェブサイトのコピーライティングについて議論する会議に出席しました。司会者は、私たち出席者を静かに座らせてサンプルテキストを読ませるのではなく、いくつものサイトのプリントアウトを参加者に配布し、ある人にウェブサイト役を、別の人にユーザー役を任命しました。指名された人はそれを読みながら、2人劇のようにやりとりをしました。

プレゼンテーションは面白いものになりましたが、それ以上に重要だったのは、この方法で、いくつものウェブサイトの声がはっきりと描き出された点です。なぜ、ユーザーはあるサイトを去るときには、気分がよく、リピーターになるのか、また別のサイトを去るときには、敵意を感じ、いらいらしているのかがはっきりと示されました。

ある問題について違う手法を用いることで、私たちのものの見方が変わり、書かれたものを読むだけでは到底気づかなかったかもしれないことを見出すことができたのです。

3. 目的達成のための別の道筋を、ブレインストーミングで見つける

問題の深みにはまっているときは、枝葉にこだわりすぎて全体像を見失うことがよくあります。細かいことについて、高い視点から検証することなく議論してしまうことがよくあると思います。このようなときは、同じ最終目的を達成するために、別のやり方がないかどうか、簡単なブレストをやってみるといいかもしれません。それが実現可能かどうかは、後で考えましょう。まずはブレインストーミングを実行して、全部書き出してみてください。

いくつかの道筋は、今していることと大きく違うかもしれませんし、ちょっとした違いに過ぎないかもしれません。これらの代替案を考えていると、はまっている状態から脱して、何が議論すべきポイントで、何がそうでないのかに気づけることがよくあります。

4. それについて考えない

休憩してみましょう。外で散歩してみましょう。一番いいのは、明日まで先延ばしにすることです。問題解決の最良の方法は、まったく解決しないことだったりもします。そのかわりに、自分の潜在意識を働かせるのです。

「一般的に信じられているのとは反対に、単純なものごとの判断は、意識的に行うほうがよく、それに対して、複雑なものごとの判断は、潜在意識で取り組んだほうがよいのです」と、Ap Dijksterhuis氏とLoran F. Nordgren氏は論文「A Theory of Unconscious Thought(潜在意識の理論)」で述べています。顕在意識では、人は限られた数のものごとしか考えられず、また、無関係のことにたやすく影響されます。それに対して、潜在意識は大量の情報を分析することに長けており、些細なことより重要なことに、より力を入れて考えます

しばらくすると、どこからともなく解決策が浮かんでくる「アハ体験」の瞬間が訪れます。まるでだまされたように感じるでしょう。プロフェッショナルな仕事の場で「一晩考えさせてください」とは言いづらいですから、私はよく顧客に「明日ご回答します」と話して、その時間を稼ぎます。

一般的に、問題解決に創造的なアプローチをとることで、多くの選択肢が生まれ、対立は減り、そして結果はよりよいものになります。

4 Ways Creative People Make Ideal Practical Problem Solvers|Pick the Brain

Larissa Pickens(訳:Conyac

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